#020 田中寿美礼さん


お名前:田中寿美礼さん

    sumiretta (スミレッタ)主宰 

出身 :愛知県稲沢市生まれ

現在 :多治見市在住

取材日:2020年10月21日

昨今の調査では日本人成人の二人に一人が何らかのアレルギー疾患をもっているということがわかっています。

主には気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎は3大アレルギー疾患と言われ、生活環境の近代化に伴って世界中で増加してきた病気です。因みに、幼児期の食物アレルギー有症率は20人に1人、乳児期は10人に1人です。

一方、最近10年ぐらいで特に増加し社会問題になっているのは食物アレルギーです。

食物アレルギーといえば、小児の卵、牛乳、小麦などのアレルギーを思い浮かべることが多いと思います。

アレルギーはアレルゲンである食物を食した時、かゆみや湿疹などの皮膚症状から、息が苦しくなる呼吸器の症状、腹痛、吐き気、下痢などの消化器の症状、血圧低下などの症状が現れることもあります。

いわゆるアナフィラキシーショックを受けた場合、死に至るケースもあるとても危険な疾病です。

幼い頃、親に言われたことであるだろう「好き嫌いなく食べなさい」とは違う、食べたくても食べられないという食へのストレスを抱えた生活を余儀なくされる。

それが幼い子供のころであればどうだろう。友達と一緒のおいしそうなお菓子やケーキを食べられない、家族と一緒のものが食べられないというのは、わかってはいてもとても寂しい気持ちになるのではないでしょうか?

そんな、子供たちのために、アレルゲンである食物を使わなくても、見た目も味も笑顔になるような、スイーツを作り、また多治見市を食にやさしい街にしたいと活動していらっしゃる方が今回の多治美人ゲストさんです。

始まりはアレルギーでも

愛知県稲沢市ご出身の寿美礼さん。ご結婚されるまでご実家で暮らされたため、料理はあまりされていなかったという寿美礼さんでしたが、結婚を機に、できるだけ手作りで添加物を使わない食生活を心掛けるようになりました。

独身時代はJR東海フードサービスが運営するレストランを2つ掛け持ちする店長でした。そこではアレルギーのある方向けの料理やスイーツを提供していたわけでは無く、一般向けの食事を提供していました。

結婚してからも、店長業を続けていましたが、子供を授かりたいと思い、3年ほど不妊治療を続けましたが、なかなか子供を授かる事ができませんでした。そんな中、多治見市に引っ越す事になり、そして多治見市に移転して間もなく子供を授かったと言います。「母が最期の治療と思って頑張ってみたらと言ってくれて、母親の勘ってすごいなと思いました」と。

待望の子供を授かった寿美礼さんでしたが、お子さんが5ケ月の時に乳児湿疹を発症します。お子さんは小麦・卵・乳製品以外にも大豆も食べられなかったため、食べ物には大変苦労されたと言います。授乳中の自分も辛い思いを共有しました。

お子さんの食物アレルギーをきっかけに、「食」に関して真剣に考える事が増えたとの事。

お子さんは市販のおやつがなかなか食べられない。市販のものは種類が少ない、かわいいものが無いという不満もありましたが、何より友達と同じものが食べられない、笑顔になれないというで、それなら自分が作ってみよう!と思ったそうです。

前職で培ったパティシエの知識も活かし、夜な夜なアレルギー対応の食べ物を作っていたと言います。

今年に入ってからはさらに知識を深めようとアレルギー大学の通信教育を受け始めました。

そして笑顔のために

そうしているうち、自身の中で、自分の家族だけでなく、食物アレルギーに悩む子ども、そしてそのお母さんのためにも、みんなが楽しく笑顔で食べられるスイーツをたくさんの人に提供したいと考えるようになりました。前、ながせ商店街にあった『カシュカシュ』さんというパン屋さんがありました。そこのオーナーさんは、自分の娘が食べられるパンも少ないのですが、いつもうちの子が食べる事ができるパンを作って待っていてくれていました。

毎週行けるとも限らないのに、来れる時にきてくれればいいよといつも作っていてくれたと言います。そんないつも優しく迎えてくれていたカシュカシュさんがそこの店舗を撤退される事を聞き、今度は自分が無謀にもその物件を管理する多治見まちづくり(株)さんにその物件で店舗経営をしたいと聞きにいきました。しかし勢いで話を聞きに行ったものの、思いだけで自分にはまだ経営者としての知識もビジョンも備わっていない事がわかり、まずはそこを学び覚悟を決めてからと、その物件は諦めました。

その頃、可児市で開催されていた『女性のための創業塾』という講座に、子供をご主人に預けて毎週夜に通っていました。その後も今度は美濃加茂市で開催されていた起業塾講座を3か月受けたと言います。そこで良い先生と仲間との出会いがありました。授業の最後に自身の起業内容のプレゼンテーションがあるのですが、その5日前くらいに、降って湧いたように屋号が出ていたのです。それが現在の屋号となっている『sumiretta』(スミレッタ)です。プレゼンの資料作りなど、得意とするご主人様の協力を得ながら作成し、当日を迎えました。

思いのほか、その起業プレゼンテーションが大変好評であったため、自分に少し自信を持つことができました。

遂にsumirettaが動き出す

受けていたセミナーの延長で、「美濃加茂市民まつり」で模擬店舗そして出店をする機会を与えてもらい、そこでsumirettaとして初出店をする事ができました。2018年の11月の事です。

出店が決まってからは、作業場を美濃加茂で借り、商品の種類、お店のロゴデザイン、チラシ作りなど、ご主人様の協力のもと急ピッチで進め、出店当日には多治見からも来てくれた友達もいて、無事に完売することができました。それがsumirettaとしての第一歩だったと言います。そこから1年くらい美濃加茂の作業場で商品を作り、イベントなどで販売をしていました。

寿美礼さんに転機が訪れたのは、今年の多治見市が開催する『多治見ビジネスプランコンテスト』でした。ビジネスとして自分に何ができるのか、何が伝えられるのかが漠然とした中でしたが、挑戦したいという気持ちもどこかにあって。食物アレルギーのある子どもも安心して食べられるお菓子作り、そしてそんなママ達の情報交換の場所や機会作り、アレルギーマップの作成により、アレルギーの方でも食べられるメニューを提供できるお店を知ることができ、食にやさしい岐阜県を多治見市から発信する。そんな自身の想いをこのコンテストで精一杯話すことができました。賞は惜しくも逃しましたが、自身にとって、今後の糧となる良い経験になったと言います。

まさかの急ブレーキでも

ビジネスプランコンテストから約2ヶ月後、世界は誰も予想していなかった新型ウィルスコロナの感染拡大により未曽有の事態を受けました。sumirettaさんも出店していたイベントなどは軒並み中止になり、計画中であったアレルギーの子どもを持つ親同士の交流会など、開催が難しくなってしまったものもあったと言います。しかしビジネスプランコンテストから、コツコツと積み上げてきたものがあります。それは、多治見市内でアレルギー対応の飲食販売店を探し(もしくはアレルギー対応メニューができないかを交渉)一つのマップにする事です。

一店舗ずつ営業に回り、掲載条件である、

①食物アレルギーに対応する意思があること。

②食物アレルギー対応メニューがある事。

③メニューや店舗情報に変更が生じた際、速やかに連絡する事。 

を説明し、なんと市内で20店舗の掲載協力店を作ることができました。アレルギー対応となると店側も責任が生じることになるため、この20店舗の協力店を作ることはかなりの努力が必要であったと思われます。そして今後は、それをsumirettaさんのロゴもデザインしてくれたイラストレーターさんにお願いし、見た目も可愛いマップにして配布予定です。

その事で、市内だけでなく市県外からも、アレルギーを持った方が安心して外食できるところを探して多治見市に足を運んでくれるかもしれません。そこにもうひとつの寿美礼さんの狙いと思いがあるように思います。

*アレルギーの方のための飲食店マップ「たじみあるくマップ」はalcma(アルクマ)でも掲載中。

 

実際にお菓子作りの作業現場を見させていただきました。取材日はクッキーを作ってもらいました。小麦・卵・乳製品を使わず、材料は米粉。米粉は固くて割れやすいので、水の分量や、焼く時の温度など、これまでたくさん失敗してきたとの事。材料もなるべく地産地消したいと、岐阜県産のものを色々探し、現在は美濃加茂の『はつしも』米粉を使用しているそうです。米粉にきな粉を混ぜたクッキーが焼きあがるととても香ばしいかおりがします。

クマの形をしたクッキーの真ん中にはキラキラとしたお菓子が輝いています。このお菓子のデザインは、多治見に来て大好きになったモザイクタイルやステンドグラスをモチーフにしています。窓にかざしたクッキーの真ん中の部分が窓の光を通して、寿美礼さんを照らしているように見えました。

これからも食を通して、子供たちやその親たちに笑顔が届けられるように。そして子育てしやすい街になるように。寿美礼さんの挑戦は続きます。


好きなファッションは?

子どもが産まれてからは、動きやすさ重視のカジュアルな服装が増えてしまったが、ワンピースや花柄、アニマル柄、パンプスやネイル、アクセサリーなど可愛らしさのある小物が大好きです。誰かと同じ格好、真似をするのが嫌いなので、個性的でショートカットでも女らしさを感じられるファッションでいたいと思っています。


多治見お気に入りスポットは?

七窯社多治見修道院、mozaic美鈴(閉業)


お気に入りの理由は?

多治見に住んで6年になりますが、地元の事が知りたくて始めたモザイクアートにハマり、タイルの虜に。見る角度によって光り方や色、質感が違って見え、ひんやりした触り心地が好きです。作品作りに飽き足らず、新築した自宅にもタイルをこれでもか!と使っています。七窯社さんの陶磁器やタイルを使ったアクセサリーも好きで以前購入し持っていました。モザイクタイルをモチーフにしたイヤリングも素敵で、七窯社さんの直営店舗は初めて行きましたが、すごくワクワクする空間でした。


多治見の好きなところ・いいところ

歴史・文化が色濃く残っていて、自然もあるところ。

美味しい店がたくさんあるところ。


多治見がもっとこうなったらいいな

古きものを守りながらも、新しいものを受け入れていく、人も街づくりもしなやかになって欲しいと思います。

大好きな街がずっとあり続けるように、若者が一度街を出たとしても子育ては多治見でしたい!戻ってきてもらえる街に近づける事がsumirettaとalcmaの目標であり願いです。

※アクセサリー・撮影協力:七窯社様

https://nanayosha.com/

 

※撮影場所協力:NPO法人 Mama’s Café様

https://mamascafe-plus.com/



取材・ライター

:

山下真美子 (POLA 紗ら)
ヘアメイク・コーディネート 鈴木利奈子(POLA THE BEAUTY多治見住吉店

動画編集・コーディーネート

: 富田由芳(ロージーチークス )

ネイルデザイン

: 小林八智子(ネイルサロン トレゾール 
カメラマン : 勝股聡子
Webサイト制作 : 馬場研二