#004 中川夕花里さん


お名前:中川夕花里さん

NAKAGAWA YUKARI Official site

出身:大阪府高槻市

現在:多治見市在住

取材日:2019年5月7日

多治見市坂上町の住宅街に大きな鉄の扉が印象的な工房

「司ラボ」ここが彼女のアトリエです。

関西+東濃+モノ作り+教員資格

今回は、若き女性陶芸作家、中川夕花里さんに取材させていただきました。まだまだ表情にあどけなさが残る夕花里さん。話口調は関西弁。関西弁と東濃弁でテンポよくインタビューが始まりました。

中学の頃からモノつくりが好きで、絵のような平面のものより立体なものを作る事に興味があったと言います。

高校入学した頃、今度はガラス製品制作に興味を持ちガラス製作を学べる京都の精華大学へ進学。

その授業課程の一環に陶芸コースがあった。これがその後、彼女と陶器を結びつける事に。

ガラス製作を学ぶことがメインだったので、正直陶芸に関する知識は〝おまけ〟的に学べればいいかなと(笑)

しかし、陶芸の事を深く学ぶうちに、すっかり陶芸の魅力にはまったと言います。実は美術の教員資格もある彼女。卒業後その道を選ぶこともできただろうが、やはりモノ作りの魅力にとりつかれた彼女は卒業後も、自分の作品作りに力を入れる。

京都の方のギャラリーでオブジェを中心とした展示会も開催していました。

 

京都か、多治見か

昨年(2018年)6月に結婚を機に多治見市に移住。実は彼女のご主人様も陶芸作家。3年前からすでに多治見に移住されていたご主人様に多治見市は作陶活動するにはいい場所だとすすめられ結婚移住を決めました。

作陶活動を行う中、京都と多治見市の違いを強く感じたと言います。

京都も多治見も陶芸という文化では古い歴史があります。京都では〇〇釜何代目という作家が多く、伝統家業として受け継がれた方が活躍されている事が多かったように思います。夕花里さんのように途中からその道を学んだ若い世代の作家が展示会や販売ができる場所は限られていた。多治見市は陶磁器産業の街であり国や県や市の重要無形文化財(人間国宝)のような巨匠もいらっしゃれば、意匠研究所があるので、そこで学んだ若手作家もたくさんいます。その作家同士の横つながりも濃くて、情報共有やたくさんの刺激を受ける事があります。

また京都ではほぼギャラリーという場所でしか展示販売できなかったのが、ここはギャラリーの他にも飲食店などのショップであったり、イベント開催も多いので自分の作品を披露できる機会をたくさんもらえます。

そのため多治見に移住してきて作家同士だけでなく、異業種の方ともつながっていけるのが嬉しいです。

現在はオブジェ制作から器制作に取り組んでいます。彼女の作品にはマグカップや平皿、ワイングラス、一輪挿し、ボンボニュール(小さいお菓子入れ)などがあり、黒や朱色、青色をした表面に白い格子が模様が入っているのが特徴です。

 


風呂とタイルとマスキングテープと

作家さんにはそれぞれ作品にオリジナルがありますが、なぜこの模様にしようと思ったのか?

 

高槻の実家のお風呂がタイル風なんです。その模様がすごく好きでタイルを器に落とし込んだらどうなるかを考えていました。

どうしたら一つ一つ独立しているタイル模様を陶器で表現できるか?

答えはマスキングテープ(笑)白く残す部分にマスキングテープを重ねた状態で釉薬をかけて焼く事でモザイクタイルを敷き詰めたような手触りやふくらみが出来上がった。実はこのマスキングテープを張る作業が一番地味で一番手間も時間もかかる作業なんです。

“縁”と“恩”で

器としての展示は今年(2018年)3月に笠原の「&enn」さんで初開催いたしました。会期中はたくさんの方に作品を見ていただく事ができ、自身の器作家としての一歩が踏み出せた気がします。

この街に来て、お貸し頂いている工房の方や、そこで同じく作陶を続ける仲間、作家以外の方でも自分をサポートしてくれる方々、たくさんの方に応援していただき作品作りを続けていく事が出来ています。

そんな方々にも恩返ししていくつもりで、若手がメインのとなった陶器祭りや、フェアなど開催できるよう、今後は自分自身も自発的に動いていきたいと思っています。


自身がうけた恩を、若手作家が活動しやすいように下につなぐ。そんな夢を語る彼女の眼差しはとても美しかった。


好きなファッションは?

動きやすいパンツやジーンズが多いですね。普段はTシャツ、パーカースタイルです。スカートはほぼはきません(笑)

 


多治見お気に入りスポットは?


お気に入りの理由は?

なんてったってカレーが美味しいことはもちろんですが、ここで様々なイベント(音楽LIVE・街つくり報告会など)が行われていて、よそから来た自分にとってここで人と繋がれるのが嬉しいです。

ご主人様と入籍後、すぐここのオーナーご夫婦に報告に来ました。すごく喜んでくれて私も嬉しかったです。


多治見の好きなところは?

皆さん年齢問わず人懐っこくて、すごく地元愛がある方が多いように思います。地元でのマルシェにも活気がある!

 


多治見がもっとこうなったらいいな

活気がある人がたくさんいらっしゃるので、それをもっと発揮できる場所があるといい。

自分は陶芸家なので、その目線になってしまいますが、他地域から来た若手作家がここで住みながら作陶活動を続けようとすると、家賃と工房の賃料と2重になってしまいます。そんな若手のためのお安く借りられるような工房やオープンファクトリーがもっとたくさんできたらと思います。


ヘアメイク・コーディネート・取材・ライター

:

山下真美子 (POLA 紗ら)

映像編集

: 富田由芳(ロージーチークス )

ネイルデザイン

: 小林八智子(ネイルサロン トレゾール 
カメラマン : 勝股聡子
ウェブサイト制作 : 馬場研二