#009 為澤久美子さん


お名前:為澤久美子さん

(CAFE DE SOLEIL / カフェ ド ソレイユ オーナー )

出身 :福井県大野市

取材日:2019年7月1日

今や多治見市の新観光名所となったモザイクタイルミュージアム。そのモザイクタイルミュージアムの独特な景観をテラス席で楽しめるカフェがある。店舗名に太陽という言葉の入った『CAFE DE SOLEIL』だ。

今回はここのオーナー店長でもある為澤久美子さんにインタビューしてきました。

世界中を飛び回っていた彼女が多治見市にいきついた経緯とは?特異な経歴を持つ彼女が今思う、人とのご縁とは?

福井発香港行、後NYC

かわいいエプロンにTシャツ、下ろしたらお尻まで届きそうな長い髪に、長身でスタイルの良い体型。でも笑い方は豪快で、おもしろい事を言っては場を和ませるキャラクター。いろんな一面をもっていらっしゃるのではないかとインタビュー前に何時になくワクワクした。

福井県大野市生まれ。人口4万人弱の城下町であった大野市は、北陸の小京都と言われ街は碁盤の目となっています。ここで高校を卒業されるまでを過ごされます。初めて実家を出たのは短大に進学してから。奈良へ移り住みます。その後就職を機に京都へ引っ越し。初めの就職先は法律事務所でした。

しかし久美子さんにはずっと憧れていた職業がありました。CA(キャビンアテンダント)です。その夢をあきらめられず、就職した法律事務所はすぐに退職し、アルバイトをしながらCAになるための勉強をし、なんと27歳の時にCA採用試験に合格されます。国内の航空会社は採用基準の年齢が24~25歳までがほとんどでした。

採用となったキャセイ・パシフィック航空(以下キャセイ航空)だけが27歳まで採用だったので、年齢的にはギリギリでした(笑)

採用となったキャセイ航空は、拠点が香港であったため香港に引っ越す事に。ここで3年弱勤務されます。色々な国に行きましたし、CAのお仕事は楽しかったですと。そしてここでパートナーとなるご主人様と出会われます。「43会」というS43年度前後生まれの交流会があったのです。ここで日本から長期出張で見えていたご主人と出会い、30歳でご結婚されます。

その後ご主人がニューヨークに駐在になったのをきっかけに、キャセイ航空を退社され、ニューヨークへ。

ニューヨークでも何かやりたいと思っていました。

「私、中学の時からお菓子作ったりするのが好きだったんです。パティシエの仕事現場が見たいという好奇心 もありニューヨークの知人に紹介してもらい、ニューヨークの3つ星フレンチレストランを見学させてもらいま した。そしてそのままそこでパティシエとしての仕事に就くことになったんです。」

店の名前は『アランデュカス』。

ここでパティシエとして3年間の経験を積むことになります。


Like A Rolling Stone

しかし離婚を機に、再び日本に帰ります。地元福井市に何年かぶりに帰って、郵便局、市役所の臨時職員、草刈のバイトまでたくさんのアルバイトをします。

実はその時、またアメリカの方で就職したいと思って、知人を頼り3ヵ月間ラスベガスに行ったり、アリゾナ州のフェニックスに行ったりして、また1か月ほどいったん日本へ帰国して、また渡米という生活をしていました。

アメリカで就職したいと考えていた久美子さんでしたが、市役所で臨時職員をしていた頃に出会った方が、大野市でカフェを始めるから一緒にやらないかと声を掛けられ、2012年3月に2人でカフェをオープンします。

しかし、自分自身で店を持ちたいとの考えや経営や方針の考えの違いもあり、そこは9か月ほどで辞められます。

「1年くらいはジプシーしてました(笑)。何かやらなくちゃとは思っていましたが悶々とする日々で」

自分の好きな事はやっぱりずっとやってきたお菓子作り。大野市から福井市に引っ越しして、店舗を借りて工房でお菓子の受注販売をしていました。特に大きく宣伝する事をせず口コミだけでお受けしていたとの事。

いろいろな迷いもありましたが、ふたたび大野市に戻り2016年1月にカフェを始めます。この頃何をやりたいのか一番迷っていたかもしれません。

ここまで聞くとわりと短いスタンスで転々とされた感もありますが、ご家族の反応はどうだったのでしょうか?

「自分の母はわりと自由な発想の人で、私が決めたことには、やってみれば~と反対する事もしなかったので私も自由にやりたい事ができたのもあります。」

 

モザイクに導かれ

 そしてついに多治見市に来ることになったきっかけが訪れます。

知人が多治見市笠原の商工会議所の方でセミナー講師をされていた方で、その方の紹介で多治見市のモザイクタイルミュージアム近くにカフェをオープンするのでやってみないかとお声をかえられます。2016年1月に大野市でオープンしたカフェでしたが、2017年3月にはなんと多治見に引っ越しされます。これはかなりハードな決断だと思いますが。

「私、やりたいと思ったらすぐ決断してしまうんですよ。それから人に求められるとか必要とされると、はいはーいと行ってしまいます(笑)。」

2017年4月28日にプレオープンしたソレイユさんですが、ゴールデンウィークに入った事もありオープンからすごいお客様の来店だったとのこと。ここはモザイクタイルミュージアム観光のお客様も多いので、一人づつお水出したり片づけたりフルサービス出来ないので、カウンター注文形式となっています。モーニングはありませんが、日替わりサンドイッチやシフォンケーキ、焼き菓子などもご用意しています。

長江陶業さんが関わっていらっしゃることもありますが、笠原という場所でオープンしたカフェということもあり、店内や外のテラス席いたるところにタイルが使われています。

営業時間は9:00~17:00。閉店後にお菓子の仕込みをすることも。

かしくて漂泊の太陽は

4万人の都市から都会へ、そしてCA時代から世界へ、転々とジプシーされていた時代、たくさんの事を経験されてきた久美子さんですが、「私特に夢はないですよ」と。

 

「こうやっていこうかなというイメージはありますが、大それたこうなりたい!という夢は無いんです。いつも誰かに必要とされて、その必要とされた中で自分ができる事を精一杯やって答えたいというのが自分のスタンスだと思います。これまでいいご縁をいただけて今はこの多治見の地でお仕事させて頂けています。もともと大きな夢は無くても人との出会いで夢が作られていく事もあります。

 でもあえて、こうなってくれたらというものをお伝えするとすれば、人が集って〝繋がって〟くれる居場所を作っていきたいです。私がそうであったように人とのご縁が今の自分の居場所を作ってくれている。このカフェがそんな場所になってくれたらと思います。

店の名前にSOLEILと付けたのは、太陽に人が集まるように、あったかい場所になってほしいという想いがあたから。」

 

色々な土地で、色々な事を経験してきた彼女だからこそ見えてきた景色も角度もあったのだろう。太陽のように明るい雰囲気の久美子さん。これからはこの多治見で太陽のようにみんなを明るく照らしてほしい。


好きなファッションは?

私、家とお店を往復するだけの毎日だから(笑)、ほぼTシャツにパンツスタイルです。

仕事柄動きやすい格好でいることが多いですね。


多治見お気に入りスポットは?


お気に入りの理由は?

ここに(多治見市に移住)きて、ほぼお店にいる事が多いので、必然的に見る景色がモザイクタイルミュージアムなんです。モザイクタイルミュージアムには観光に来られるお客様も多いため、ここに訪れる様子を眺めたりするのも好きですし、建物の形もすきです。意外に雨の時のミュージアムも素敵なんですよ。


多治見の好きなところ・いいところ

田舎過ぎず、都会すぎず、ほどよく人が繋がりやすいところですかね。この〝ほどよく〟が実は大事で、人口が少なすぎてお互いに干渉しすぎたりせず、多すぎて繋がりがないという事もない。それがいいと思います。


多治見がもっとこうなったらいいな

まだここに来て間もないので、思いつかないのが本音ですが(笑)。

自分の想いの一つである、人が気軽に集える場所がたくさんあってほしい。高齢者も若者も年齢関係なく交流できる場所があったらいいですね。

ヘアメイク 富田由芳(ロージーチークス )
コーディネート・取材・ライター   山下真美子 (POLA 紗ら)

動画撮影編集

: 富田由芳(ロージーチークス )

ネイルデザイン

: 小林八智子(ネイルサロン トレゾール 
カメラマン : 勝股聡子
ウェブサイト制作 : 馬場研二